2月のヴェネツィアは…寒い!です。夜ともなれば氷点下は当たり前。 そんな一年の中で最も寒い時期に謝肉祭のカーニバルは開かれます。 その2週間あまりの間、迷路のようなヴェネツィアの街は、そこらじゅう仮面をつけ、仮装した人、人、人…。
街の中心にあるサンマルコ広場には一日中、着飾って仮装した人たちと、そのゴージャスな姿を写真に収めようと、各国から集まってきた観光客でごった返します。そして最終日には仮装コンテストが開かれ、毎年優勝者を決めるそうです。
なんでも一年間、そのコンテストの衣装を作るために働き、自分たちで制作し、カーニバルに望むとか。
芸術作品のように美しい仮装をした人たちが、路地や古いカフェを練り歩く幻想的な姿を見ると、自分が全く違う時代に来てしまったかのような錯覚に襲われます。
でもそんな中に、グループでミッキーマウスの仮装したり、動物の着ぐるみを着た人たちが混ざっていて思わず笑っちゃう…なんていうのもカーニバルの楽しいところ。
何年か前、スターウォーズのエピソード1が公開された年には、悪役ダースモールの仮装の人なんかもいましたよ。 とにかく街中が仮装した人だらけで、仮装してない方が恥ずかしいほどなんです。初めて訪れたときは、完全に見るだけのつもりで行ったのですが、毎日街を歩き回っているうちに「う〜、私も参加したいっ!」と思ってしまいました。
そんな人にうってつけなのが、街の道端のあちこちに出ている、顔にペインティングしてくれるお店。私もしてもらったのですが、顔の半分ほどに金や銀などきれいな色を使って、仮面のようなメイクを施してくれるんです。それがとても美しい模様や色合わせで、ラメやライトストーンをなども使って仕上げてくれます。 メイクをしてくれた若いお姉さんに聞いたところによると、みんな美術学校の生徒で、ヨーロッパの各地から冬休みにヴェネツィアに来て、おこずかいを稼いでいるとか。なるほど、センスがいいのにも納得です。
そんなわけで、2回目に訪れたときには、私も何か仮装して参加したいと思い、なんと番傘を持って行きました。(今考えるとちょっと恥ずかしい…)私が番傘を持って広場をうろうろしていると、そこへ真冬だというのに浴衣を着たイタリア人の若い女の子の集団が。思わず目が合ったので声を掛けたら仲良くなってしまいました。
つたない私のイタリア語で聞いたところによると、ヴェネツィア大学で日本の美術の歴史を学んでいるという、大の日本びいきの女の子たちでした。中でも特に仲良くなったサンドラちゃんに、私の持っていた番傘を記念にあげたら「ヤサシイ!ウレシイ!アリガトウ!!」と日本語で大喜びしてくれました。 恥ずかしい思いをして仮装して行ってよかった〜と思った瞬間でした。
そんな楽しいカーニバルですが、食いしん坊の私が行く度に必ず食べる、いえ、それを食べるために行くと言っても過言ではないお菓子があります。そのお菓子はカーニバルの間、街中に溢れています。どこのカフェに行ってもあるし、もちろんレストランにもあるし、パン屋さんには朝からできたてが並びます。 私はヴェネツィアに行くと必ず泊まるホテルが決まっています。部屋の窓から、リアルト橋が見える、内装が真っ赤なエレガントなプチホテル。そのホテルでは、カーニバルの間、必ず朝ごはんにそのお菓子が出ます。それはフリッテリという揚げ菓子。ヴェネツィアではカーニバルのときしか食べないらしく、カーニバルの期間外は、どこを探しても見当たらなくなってしまう不思議なお菓子。
でもこれがおいしいんです!!小麦粉でできた揚げた皮の中に、カスタードクリームがたっぷり詰まっています。上には白い粉砂糖。プレーンなカスタードが入ったものと、カスタードにラムレーズンが入ったものの2種類あり、皮の外側がパリッとして、内側はふわふわ、中のカスタードは濃厚でクリーミィー…ああ!!想像しただけでよだれが…失礼。 でもとにかく最高においしいんです!シュークリームを揚げた感じと表現するのが一番近いでしょうか?私はいつも朝から12個入りのフリッテリを買い、朝はカプチーノとフリッテリ、広場でベリーニとフリッテリ、夜はホットワインとフリッテリ…と食べ続けていました。きっとすごいカロリーなんだろうなあ…恐い。 日本に帰ってきてどこかで食べられないかとずっと探しているのですが、未だに出会ったことがありません。みなさんもヴェネツィアにカーニバルの時期に行かれる機会があったら、是非食べてみてくださいね!
イタリアはそれぞれの土地によって、本当に景色も、風習も、食べ物も全く違い、その土地その土地にいろいろな表情があります。そんな中でもヴェネツィアは世界に一つの特別な街。
今度は大好きな人と新婚旅行で訪れたいなあ…なんて淡い夢を抱いています。
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